秀でよ凡才

出でよ天才と言われても出ていけない男

   今後の予定




   チケットの予約・取り置き希望はsugitamasataka@gmail.comまで

文学フリマに参加してきます

 明日は東京流通センターで行われる第二十三回文学フリマに出店してきます。
 一年前に暗礁に乗り上げたテキストコント集を含めてやりたいことはいくつかあったのですが空回りして計画倒れに終わってばかりでしたがなんとか新作のテキストコント集「覚えたてのいぶし銀」を出せます。
 ここに至るまでの道には不満もありますが揃えたネタは面白みがあるものばかりだと思うのでよろしければお手に取ってください二階ア-32ブースでお待ちしております。
 以下、頒布物の紹介です。

新刊 覚えたてのいぶし銀(32ページ)100円

コント:質屋
コント:本屋のイベント
漫才:二択
コント:紅白歌合戦
コント:モンスターペアレント
コント:復讐


 架空のお笑いコンビのネタ台本という体のテキストコント集。
 どれとは言いませんが、夢で観たやりとりを基にして書いたものがって、それに関してはどう受け取られるか若干の不安もありますが、それ以外は非常に僕らしいものになったと思います。
 既刊に比べると一本一本のネタは短いですが、その分とっつきやすいので僕のテキストコント集が初めてという方にもお勧めできます。

既刊 晩夏に薫風(44ページ 100円)

漫才:ビジネス
漫才:片づけ
漫才:犬
漫才:ニュースキャスター
漫才:丑の刻参り
漫才:占い師
漫才:誕生日
漫才:京都の果てまで連れてって!


 架空の男女漫才コンビの単独ライブという体のテキスト漫才集。
 書いている本人としてはあんまりピンときていませんが、キャラクターに好感が持てると一部で褒めていただいているので、僕のテキストコント(漫才)集が初めてという方にも安心してお勧めできます。

既刊 二枚目の名刺(48ページ 無料)

コント:サファリゾーン
コント:テロリスト
コント:仏壇
コント:屋上


 これまで書いてきた中から選んだ四本のテキストコントが入っています。
 自信作と言うのも面映ゆいですが、本来の実力以上に書けたものばかりなので僕のテキストコント集が初めてという方に是非とも読んでいただきたいです。特に大喜利パワポカラオケでしか知らない人には絶対に(笑)。


 告知をしそびれていましたが、来月はパワポカラオケのグランドチャンピオン大会があります。

全NIPPONパワポカラオケ選手権グランドチャンピオン大会2016 12月14日(水)
会場:原宿ヒミツキチオブスクラップ
開場:19時
開演:19時半
料金:前売2300円/当日2800円(チケット予約はこちらのフォームからお申し込みください)

 例によって例のごとくどうなることか不安ではありますが、とにかく食らいついてきます。絶対に楽しいイベントになるのでよろしければお越しください。

七河迦南「わたしの隣の王国」

わたしの隣の王国

わたしの隣の王国

 高校を卒業し短い休みを迎えた杏那は恋人で研修医の優と国内最大級のテーマパークハッピーファンタジアを訪れていた。夢のような一日を過ごすはずが、些細なことがきっかで二人は離れ離れになってしまう。杏那はパークのマスコットハッピー・パピーたちが本当に存在するファンタジー世界に迷い込み、一方で優は密室殺人事件に遭遇していた……。
 夢と魔法にあふれるファンタジー世界の冒険と事件と現実の密室殺人が交互に語られていくわけで、どう決着がつくのか興味はあるし杏那の冒険は楽しく読みつつも、謎そのものにはそこまで惹かれなかったり細かく引っかかるところがあったりでテンションが上がりきらないまま読み進めていましたが解決編で大喜び。
 相当な無理筋があるし部分的に見れば納得できないところも多々あるのはマイナスなんですけれど、その無理筋を押し通して成立させた凝りに凝った仕掛けと稚気溢れる細かいネタの数々に惚れ惚れして最終的にはぐうの音も出なくなっている。
 作中で世界観やアトラクションなどテーマパークを作ることの大変さが語られますが、この一作に相当な労力を使ったのは容易に想像できるわけで、なんといういか、ひれ伏しますね。
 冒頭からあからさまに先行作品を連想させたり杏那にアンフェアが嫌いだと宣言させたりといった挑発的なまでのネタには期待半分眉唾半分だったんですが、さすが挑発するだけのことはあるなあ……と呆けたように読み終わりましたよ。

9月5日即興テキストコントお題「湯豆腐」

先輩:今回の夏合宿、食事の準備はお前に任せたわけだが……。なんだこれは?
後輩:なにがって湯豆腐ですよ。
先輩:おかしいだろ! 普通、バーベキューだろ! なんだよ湯豆腐って!
後輩:いいじゃないですか。おいしくいただきましょうよ。
先輩:なんでこんな炎天下で熱い思いして湯豆腐食わなきゃいけないんだよ!
後輩:それ言うんだったら、なんで熱い思いして肉焼かなきゃいけないんですか。
先輩:肉だからいいんだよ!
後輩:熱いのがいやだったら冷や奴にしてもいいですよ。
後輩:そういう問題じゃねえよ。というかどうするんだよ。サークル全員バーベキュー楽しみにしてるんだぞ!
後輩:別に湯豆腐でもいいじゃないですか。UDFですよ。UDF。
先輩:BBQみたいに言ってんじゃねえよ! そもそもなんで湯豆腐にしたんだよ!
後輩:だって、そもそも合宿でバーベキュー食べること自体がおかしいと思うんですよ。
先輩:なんでだよ。
後輩:だって、ダイエットサークルのダイエット合宿ですよね。
先輩:ああ。プチ断食で3キロ痩せようが合言葉のな。
後輩:なに最後に肉食ってるんだって話でしょ! ダイエットどこいったんですか!
先輩:いいんだよそれで! ダイエットで食わなかったり運動したりで辛い思いしてから取るカロリーが最高なんじゃねえかよ!
後輩:はあ……。
先輩:言っておくけどな、俺はガチで痩せようなんて思ってないからな!
   男女で集まって騒ぎたい、オールラウンドサークルと一緒の目的でやってるからな!
後輩:偏見ですよ。
先輩:あ! こんなこと言ってたらみんな来ちゃったよ!
   ……みんなすまん! 夏合宿最初で最後の食事がこいつのせいで湯豆腐になってしまった!
   ……え? おい、みんな。なんでそんなにはしゃいでるんだよ! 湯豆腐なんだぞ、湯豆腐!
後輩:そりゃ、プチとはいえ断食後にバーベキューは重いですからね……。
先輩:なるほど。

9月4日即興テキストコントお題「麻婆豆腐」

 客:(引き戸のドアを開けるマイム)ガラガラ。よお、店長! 今日も来ちゃったよ! 
店長:おお、いらっしゃい! 空いてるとこ適当にかけちゃってよ。
 客:わかったよ。
店長:それにしても、お客さんもうちの店に通って結構経つよね。
 客:そうだね。もう五年になるね……。
店長:ああ、そんなになるか。じゃあそろそろ裏メニューを注文してもらってもいいかな。
 客:え、いいの!?
店長:ああ、いつもご贔屓にしてくれてるからね。今日は麻婆豆腐しか出せないけれど、それでいいかい?
 客:いいよいいよ! それでお願い!
店長:あいよ、麻婆豆腐一丁ね!
 客:この店に通い続けて五年……。ついに一部の常連しか注文できない裏メニューが食べられる!
   うわあ、どんな料理が来るんだろう……!
店長:はい、お待ち! 当店裏メニューの麻婆豆腐!
 客:……あれ? あの、店長!
店員:なんだい?
 客:これ、裏メニューなんだよね。いつもの麻婆豆腐と変わらないんだけれど……。
店員:いや、全然違うよ。いつもは木綿豆腐使ってるけど、こっちは絹ごしだろ。
 客:え? だけ!? 木綿か絹ごししか違わないの!?
店長:ああ。あとは材料も味付けもまったくおんなじ。
 客:普通、裏メニューって普段出さない料理だとか味が変わるとかそういうのじゃん!
   なにこの間違い探しみたいなの! 俺、絹ごし豆腐ために五年も通ったの!?
店員:これがうちの裏メニューなんだよ。
 客:じゃあ、最悪それでもいいよ! でも、昨日普通に麻婆豆腐頼んだときさ、絹ごし使ってたじゃん!
店員:ああ、基本的に麻婆豆腐は木綿で出してるんだけれど、たまには気分転換してるのよ。
   それで、使わなかった方の豆腐を裏メニューで出してるのよ。
 客:じゃあ、裏でもないじゃん!
店員:いやいや、表に出てないんだから裏メニューだろ。
 客:裏メニューってそういうことじゃないんだよ!
   結果的になんの変哲もない麻婆豆腐を二日連続で食ってるだけだからね!
店員:おいおい。なんの変哲もないことはないだろ。絹ごしを使ってるんだぞ。
 客:絹ごし使ってることに誇れるほどのオリジナリティはねえよ! 大概で二択だからね!
   ああ、もうこの際麻婆豆腐のことはいいや! ほかに裏メニューないの?
店員:あるにはあるんだけど、今日はやってないんだよな。
 客:あるの? じゃあ、次来た時の参考にしたいからどんなのか教えてよ。
店員:これも麻婆豆腐なんだけれどね、豆腐の代わり茄子を使っている……
 客:麻婆茄子じゃねえかよ!

9月3日即興テキストコントお題「高野豆腐」

 いい加減、逃げ続けていたことに向き合います。半年前に初めて散発的に続けてきた即興でテキストコントをちゃんと作っていきます。毎度毎度、即興の意味とはなんぞやということになりますが、なにも考えていなかったのでどうかご容赦を。

男1:はいどうも、よろしくお願いします。
男2:人間、正直に生きるって難しいね。
男1:出てきて早々、小難しいこと言い出すなよ。
男2:人間、生きていると真実を告げるべきか嘘も方便ってことで本当のことをごまかして伝えるか悩むことってあると思うんですよ。
男1:まあ、それは往々にしてあるだろうけれどね。でも、なんでそんなこと言い出すの?
男2:実は僕、アルバイトで占い師をやってるんですよ。
男1:占い師? 珍しいバイトしてるね。
男2:ええ。朝の情報番組の占いコーナーを任されてるんですけれど。
男1:すごいな! 結構な大仕事してるんだな!
男2:で、さっき明日の運勢を占ったんですけれど、困ったことがありまして。
男1:なんです?
男2:明日のラッキーアイテムが高野豆腐なんですよ。
男1:は?
男2:高野豆腐。凍らせて乾燥させた豆腐。これを正直に伝えていいのか迷ってるんですよね。
男1:あなたの占いで出てきたのが高野豆腐なら言っていいでしょ。
男2:でも、そんな渋いものがラッキーアイテムですって言われても困るでしょ。
男1:そうですかね?
男2:どこの家にあるものじゃないですからね。これじゃ、朝出かけるときに持っていけないでしょ。
男1:別に、朝持っていかなくてもいいでしょ。帰りに高野豆腐買って帰るとかでも効果はあるでしょ。
男2:ああ、ごめん。言い忘れていたけれど、明日の占いって「あなたは午前中死にます。ラッキーアイテムの高野豆腐があれば助かる!」なんだよ
男1:どんな結果が出たんだよ! なんだその乱暴な占い!
男2:それで12星座全部でこの結果なんだよ!
男1:12星座で!? お前、絶対占い外れてるだろ!
男2:当たるんだって!
男1:その占い当たったら明日の午前中に日本人全員死ぬじゃねえかよ!
男2:なんだよね。で、それを防ぐには高野豆腐が必要なんだけれど、それを正直に言うべきなのか……。
男1:言っていいだろ! ていうか、お前の占いに絶対の自信があるなら言えよ。日本の存続がかかってるんだぞ!
男2:それか、高野豆腐からはワンランク落ちるけれど、ラッキーになれてなおかつ誰でも持っているものを紹介するべきか悩んでるんだよね。
男1:なるほどね。
男2:これだと「あなたは午前中死にます。でもラッキーアイテムがあればいい走馬灯が見られるかも!」って占いになるんだよ!
男1:死は防げねえのかよ! しかも、かもかよ! 確証ねえのかよ!
男2:ラッキーアイテムは12星座共通で「これまで生きてきた中でのいい思い出」
男1:だからだよ! いい思い出振り返った直後に死ぬからいい走馬灯が見られるんだろうが!
男2:あれ? 勘違いしてない? 俺の言ってるのは影絵を映して見せる本物の走馬灯よ。
男1:由来の方かよ! 別に死の間際に本物の走馬灯見たって嬉しくないだろ!
男2:ちなみにもうワンランク下のラッキーアイテムは走馬灯ね。
男1:高野豆腐の比じゃないぐらい一般家庭に持ち合わせがねえな。
男2:「いい走馬灯が見られるかも! でも、物によっては悪い走馬灯かも!」ってのが占いの結果ね。
男1;もはやなにひとつ言い表してないだろ。
   もういいよ、そんなめちゃくちゃな占いどうせ外れるんだからさ。
男2:そんなこと言わないでくれよ。
男1:ていうか、お前どんな占いしたらそんな結果が出るんだよ。
男2:タロットだけど。
男1:タロット?
男2:そう。カードの代わりに高野豆腐を使ってるんだけどね。
男1:なにを使ってるんだよ!
男2:使いすぎてボロボロになっちゃって、死神のカード以外なにかわかんなくなっちゃってね。
男1:だから全員死ぬって結果になったの?
男2:うん。ラッキーアイテムもよくわかんないけれど高野豆腐だろうなって思ってね。
男1:雑すぎだろ! いい加減にしろ!

ライブに出てきました

 エントリーでのちゃんとした告知はしそびれていましたが、本日は「ぶちぬき魂!プレーオフ」に出てきました。お越しいただきありがとうございました。
 例によって例のごとく改善すべき点は多々ありますが、少なくとも二人から台本だけでも認められた――終演後、来ていた知人に「台本はいいと思うんですけどね」と言われたのと、アンケート(その知人は出していない)に全く同じ感想が描かれていた――ので、もっと多くの人に演技面含めて認めてもらえるよう精進します。なにはともあれ、文フリも含めて下半期の椙田にご期待ください。

みるきーうぇい「大人になるのはもうやめだ」

大人になるのはもうやめだ

大人になるのはもうやめだ

 歌に限らず小説でも映画でも暗く感傷的な青春を描いたものが大好きなので二年前の「Life」で津田さんがかけた「カセットテープとカッターナイフ」に惚れ、それ以来のファンなので(といいつつ、ライブに行けたのは二ヶ月前のレコ初が初めてだったんですけれどね)、発売が待ち遠しかった。初の全国流通ということでか人気楽曲の再録も多くて現時点での決定版といえる一枚でつまりは名盤。


 相変わらず音楽を評する言葉を全く知らないので大したことは言えませんが、どの曲もSNSなり学校における息苦しさ・生きづらさへの苦悩や逃走、それらを経たうえで居場所を作ろうと戦う姿を描いた歌詞と香織さんの切実さが込められた歌声と力強く奏でられるメロディがお互いの魅力を引き立てていて大好きです。
 「十代とエレキ」の歌詞でありミニアルバムのタイトルでもある「大人になるのはもうやめだ」、みるきーうぇいのキーワードである「大人になるのをやめてしまった」。これらの言葉はともすればネガティブ(あるいはどうしようもない居直り)に感じられるかもしれない、というか、実際そういう面もあるのかもしれないけれどそれを抱えたうえで「大人になるのはもうやめだ」と選ぶことがみるきーうぇいが描く生存競争で、葛藤を抱えながら過酷な戦いをする姿には大人になれないままオッサンになってしまった僕でも強く共感して深く深く想いを馳せてしまう。


 これまでCDやMVで散々聴いてきたから再録された楽曲にはまだ違和感を覚えるところがなくもないですが、「ほんとは生きるのとても辛い。」は切迫感が増していて(「わかってないけど言いたい」が特に)よかったのと、最初に暗く感傷的な青春が好きと書きましたが、その中でも「包帯」、「カセットテープとカッターナイフ」、「死にたくなるほど好きだった」、新曲の「保健室のベッドの中で」のような「孤独な中でのボーイ・ミーツ・ガール」や「恋愛とは言い切れない、距離感のある心のつながり」が好きなのでこれらが一枚に収められているのも嬉しいです。
 ……いやまあ、ボーイ・ミーツ・ガールかどうかはPV観る限り心もとないけれども。

みるきーうぇい「カセットテープとカッターナイフ」Music Video


みるきーうぇい「死にたくなるほど好きだった。」Music Video




みるきーうぇい「保健室のベッドの中で」Music Video