片山ユキヲ「花もて語れ」(13)
花もて語れ 13 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
- 作者: 片山ユキヲ,東百道
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/09/30
- メディア: コミック
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で、どんな幕切れを迎えるのか期待が高まるのに比例して緊張し始めたこちらの肩の力を抜かせる満里子さんの不器用な気遣いやそれに応えようとするハナちゃんの姿にほんわかする一幕を挟み、いよいよ朗読コンクールの自由作品「蜜柑」の朗読へ。
これまでと比べると大きな山場がなくて盛り上がりにこそ欠けるものの、身につけたテクニックの総まとめといえる朗読に積み重ねてきた物語を上手く織り込んだ最後にふさわしい内容で、満足感では過去の名場面にまったく引けを取っていなかったです。
途中までは「最後なのにハナちゃんがあまり目立たないな。ページ数の都合があるとはいえ、もっとドラマチックに描いてもいいのに」と思っていたのですが、最後まで読んでそうしないことで、勇気づけられる姿(一応伏字)をドラマチックに描かなくても一人立てるようになったんだと伝わってハナちゃんの成長に胸が熱くなってモノローグが染み入りました。
エピローグの「小さき者へ」の朗読と登場人物の後日談には(最終巻に間に合わせるように明かされたいくつかの設定も含めて)無事に終われたことへの喜びと素晴らしい作品に出合えた喜びと少しの寂しさとが合わさってすごくいい気持ちで読み終わりました。
欲を言えば朗読の日までを描いてほしかったですが、ハナちゃんの成長物語だけでなく折口先生と藤色先生の関係も併せて考えればここにクライマックスを持ってくるのが正しいのはわかるのでいたしかたないのかなあと……。でも、やっぱり……と、別れが名残惜しくなるくらい大好きな作品です。
片山先生連載お疲れさまでした。素晴らしい作品と出合えて幸せですありがとうございました。