秀でよ凡才

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鴨川杯に出てきました

 今月の20日に行われたアマチュア大喜利の大会鴨川杯に参加してきました。
 鴨川杯にはこれまで二回参加して共に一次予選で敗退。前々回は何の手ごたえもなく惨敗、前回は突破まであと二、三歩ぐらいまでは行け、大喜利あんまり関係ないですが形はどうあれ敗者復活でハネる。と、ちょっとずつ前進しているので今回は一次予選突破を……いや、本戦進出を最低限の目標にして挑む。


 ドキドキしているのも含めて大会の良さというか楽しみの一つだと思うので、後の方がいいなと思っていたら願いが通じたのか6ブロック中の5ブロックに振り分けられました。
 で、このブロックが本戦進出者が4名、しかも優勝したソバ2さんまでいる絶望感溢れるものに。とはいえ、誰と戦っても厳しいことはわかっていたのでやるしかないなと腹をくくる。前の日に「それ見てリラックスしたいんで、椙田劇場を起こしてください」とムチャ振りされていたfromyohさんと同じブロックになったのが若干申し訳ないやら(笑)。



 以下、恥を忍んで出した答えとどんな思考をしていたのかを戒めとして遺しておきます。


 一問目のお題は「歩きスマホをしている少女に起こったまさかの悲劇」。もしかしたら少女じゃなくて人だったかもしれない。なんでこんなフワフワしているのかの理由は後ほど。
 鴨川杯は予選出場者の中からランダムに五人の審査員が選ばれ、回答ごとに面白いと思ったら扇子を挙げて、五人中三人が挙げれば1ポイント五人全員が挙げれば2ポイントを獲得。一次予選ではひとブロック六人で争い先に3ポイントを獲得した三人が勝ち抜けというルールで、早い者勝ちだから気持ちがはやるし緊張を解くためにもとにかく最初の一手を出したくてしょうがなくて、見た瞬間からお題に向き合うのではなくどんな状況でも使えるスカした答えを探ってまず浮かんだものに飛びつきました。

家が火事

 正直、スカシとしても小手先のレベルだから「まず出してリズムが作ろう。でも、一答目で空気が出来上がっていないから上手い具合にハマって1ポイント取れればもうけものだな」ぐらいの気持ちで出したら変に力んだのが言い方勝ちになったのか、あれよあれよと挙がってまさかの2ポイント。開始10秒するかしないかでリーチをかける展開にメチャクチャ驚いたし、そしてなにかがおかしくなった。

 これまで一度も突破していないからなんとしても勝ちたいし、さっきも書いたように強豪揃いのブロックを抜けられれば誉めてもらえるという欲が出過ぎて――twitterで流れる速報に遠征していない人が一斉に「椙田さん!」とツイートしているのを眺めてにんまりしている自分をハッキリ幻視するほど――回答の練りこみやそれ以前に果たして面白いのかどうかを判断する検閲を完全に放棄してしまった。


 そうとも知らずにあと1ポイントで勝てると浮足立ちながら一答目がスカシだったのでちゃんと向き合おうとお題を眺めているうちに「あるきすまほ」って女の子の名前っぽいなと思い、続けて「意図せずダジャレになるのって恥ずかしいな。じゃあ、あるきすまほが歩きスマホしちゃったって答えよう」と閃いたので「歩木須真穂」と書いたところで、「いや待てよ。どうせならボケを足そう。それで『きす』って読ませるのか! ってツッコミが入るよう名前に使用」と余計なことをひらめき「歩接吻真穂」と書こうとするも接吻の吻が思い出せず、じゃあ魚の鱚だと思うもこちらもやはり思い出せない。よくよく考えるまでもなく「歩鱚真穂」だからって「それで『きす』って読ませるのか!」とは言われないけれど、そんな判断力はとうに失っていた。
 なんとかして名前でボケたいと苦心した末に出した答えがこれ。

歩kiss真穂っていう名前だから、ダジャレになってしまう。

 散々こだわっておいてなんですが、ダジャレになるってボケも無理矢理すぎて大して面白くはないけれどなによりもkissがノイズになりすぎてウケるわけがない。いかに冷静さを欠いていたかってことだよな。で、ここで歩木須真穂をこねくりまわしたせいで本当のお題がどうだったかはともかく、すっかり女性で固定されました。


 他の人の答えを聴いていると「歩き○○に~~される」答えが多かったので、次はその流れに乗ってポイント獲得を狙ってみる。

歩きピッチャーの松坂大輔に剛速球を投げつけられる

 歩いている状態から急に剛速球投げ込む図や松坂の剛速球が投げられる理不尽さが面白いかなと思ったけれど、まあ伝わらないわな。松坂もちょっと前に日本球界復帰のニュースがあったから出した安易さよ。しかも、ニュースとしても新鮮ではないし固有名詞としても前の週のTHE MANZAI華丸・大吉さんが使っていたのによく無策で手を出したな!


 他の方々が徐々にポイントを重ねていき、2ポイント獲得できたアドバンテージが徐々になくなる中引き続き歩き○○のダジャレを考え続けていると「アルキメデスの定理」という単語が浮かぶ。ダジャレとしてはなんてことのないものだし上手く組み込めるでもないからすぐ捨てるべきだけれど、このときは「アルキが入っているのに歩きじゃない! これはきっと盲点だ!」と天啓のごとく感じてしまったんです。
 さておき、そのときの僕は「アルキメデスの定理」をどう使うかを必死に考えていました。「アルキメデスの定理を発見してしまう」それじゃ悲劇じゃないな。「アルキメデスよろしく全裸で出歩いていた」これもしっくりこないなあ……。と悩んでいるうちに時間切れになるので、無理矢理悲劇の要素を足すことに。

アルキメデスの定理を発見した!! ……でも今は2014年。

 ギャラリーのオフィユカスさんから「あの人、なに言ってるんですか?」とガヤがあったけれど僕が知りたい。で、これはごく限られた人にしか伝わらないけれど、これワットとミネルヴァのコントのオチと同じじゃねえかよ。



 一問目は迷走したまま終わり、気分を改めて挑みたい二問目のお題は「警察から『知らんがな!』と言われた110番通報」
 気分を改めて挑みたいと言ったものの、思いっきり変な調子を引きずったまま。ここでも変わらずスピード勝負で決めたいとお題が出た瞬間に浮かんだ答えに飛びつく。

わにだー!

 大阪に行く何日か前にこしばらくの大喜利を振り返ったときに「○○だー!」って叫んでゴリ押しするのをこの数か月で三、四回やっているからやめようと思ったんだけれどなあ……。逆に振り返ったことで頭に残ってしまったのか……。
 奇襲攻撃でそれなりにウケて二人までは上がったものの、あと一歩で勝ち抜けならず。あとでこのとき審査員だったザブマリンさんから「悩んだんだけれど、挙げていいものか迷って……」と申し訳なさそうに言われたけれど、あなたの判断は楽しい。あなたは大喜利を守った。
 この答えに「別に通報してええやん」とツッコミが入ったので、そうだよな。じゃあそんなもんで通報するなよって方向で攻めるかと、次の答えを決める。
 この一答で勝負を決めるつもりだったので、答える前から、なんだったら指名される前から(さすがに他の方が答えているときは普通にしていましたが)入れ込んで目をランランに輝かせ渾身の絶叫。

ねこだー!

 ……。
 …………。
 ……………………全くウケない。あまりの空振りに呆然としていると「なんで下回るねん」とツッコミが。
 うん、そうだよね。前のボケを超えるのがお笑いの鉄則だよね。


 この失策があまりにも手痛過ぎてあとのことは全く覚えていない。一、二答出していたかもしれないし最後の答えまでなにも出していないかもしれない。ひとつ言えるのは出していたとしても焦って練らずに出してスベってさらに焦って練らずに出してという悪循環に陥っていたことは確実ということ。
 一人相撲であたふたしているうちに田中一さんが今大会でも屈指の名回答を出したり勝ち抜く人も出てくるしで追い詰められた末出した答えが。

おい警察。世間では税金泥棒だ税金泥棒だって言われてるけれど、市民の安全を守る大変な仕事なのはわかっているからさ……頑張れ!

 前回同様長ゼリフに賭けるも(ってその前回の感想を書いてないのに)、いたって普通のことしか言っていないので当然ウケるわけがない。
 そうこうするうちに最後の枠もひらたいさんが勝ち抜けられて三回連続で一次予選敗退してきました。



 なんというか、野球でノーアウト満塁だと意外と点が入らない理由がよくわかった(一緒にするなよ)。

 とまあ、振り返ってみたらなんだか自己批判ばかりで落ち込んでるように思われるかもしれませんがこの反省を糧に面白いことをやってやろうと前向きにしかなっていないのでご安心ください。
 次はもっと力をつけて忘れ物(一次予選突破)を取りに行きます。それに形はどうあれ、形はどうあれ初めて五人全員から挙げてもらえたのでちょっとずつの前進は続いているし。