秀でよ凡才

出でよ天才と言われても出ていけない男

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空想委員会「空想片恋枕草子」

空想片恋枕草子<初回限定盤>

空想片恋枕草子<初回限定盤>

 タイトル通り四季折々、時間帯も主人公の年齢も様々の片想いが描かれた空想委員会の新譜。
 インディーズのころから「歌詞が文学的」としばしば評されていて、そういった評を目にするたびにわかるようなわからないような気分になっていたけれど、これを聴いてようやく理解しました。たしかに文学的。詩というよりは小説のようという意味で。
 リード曲の「春恋、覚醒」を例に出せば電車の中で見かけた子を好きになって、読んでいる単行本が気になったり、鞄に付けたバッチから好きなバンドを推測して聴いてみる具体的な片想いの過程やストレートなモノローグが小説のように(お分かりでしょうが感覚的にしか使っていません)感じられて、主人公のそれまでの日常や彼女の容姿や描写されていない部分まで空想が広がって感情移入するし、「体中の細胞が生まれ変わる」「体中が君のことを考えてる」と言うほど好きなのに、やっていることは見つめているだけという遠さ・手の届かなさが涙ぐましさに共感もするのでラストの切ない幕切れが胸に響いてしょうがない。彼女への想い・出会いを表すような激しいサビと委員長の歌声が切実だから余計に切ない。
 といった具合ににリメイクされた「マフラー少女」まで淡かったり切なかったりする味わい深い歌詞とそれを盛り上げるメロディを堪能しました。
 「作戦コード:夏祭り」の健全な甘酸っぱさと「秋暮れタイムカプセル」のこれぞ思春期というセンチメンタルを存在しなかったはずのノスタルジーと共に聴いているけれど、中学生のころに聴けていたら触発されてもっと充実した人生を送れていたのではという気が(笑)。