秀でよ凡才

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2019年11月に世代杯に出てきました

 「去年の11月に世代杯に出て来ました。遅きに失するにも程がありますが調子がよかったので振り返ろうかと」と、下書き状態の記事にあったのでおそらく2020年の初頭に書き始めていたのでしょう。全然書き終わらなくて三年近く塩漬けになっていた世代杯の振り返りですが、11月に第二回が開催されるとあっていい加減なんとかしようと書き上げました。



 参加者を大喜利歴でチーム分けして、約一年半までのルーキー、一年半以上六年未満の中堅、それ以上のベテランの三チームから代表者が一人ずつ出て、参加者の投票で一番面白かった人だけが勝ち残り他のチームはメンバーを交代していき最後まで残ったチームが優勝。というのが世代杯の基本的なルール。
 僕はどこからはじめたのか定義は難しいものの、八年ほどやっているためベテランチームに入ることに。錚々たるメンツの中に優勝歴どころか決勝進出の経験すらろくにない奴が混ざっていて始まる前はなかなかに針のむしろの気分でした。
 参加者が揃って主催の俺ランさんが挨拶したあと会がスタート。各チームから最初の回答者が出ていくときに最初に出されるお題は俺ランさん作でなにやらひどそうなことは匂わされていたものの、早くやりたかったので名乗り出ました。
 一周目は自己紹介もかねて出たときに軽く挨拶することになったものの、ボケの準備をしていなかったので「椙田政高です。よろしくお願いします。言いたいことも特にないんでこのあとの大喜利見てください」カッコつけることに。苦し紛れではあったものの似合わぬセリフを言ったおかげで軽くウケてくれて「このあとちょっとやりやすくなったかな」とホッとしたところで出されたお題がこちら。
 「台風の目は無風状態になりますが台風のチンポはどんな状態になる」
 初手、ド下ネタ。ツッコミや戸惑いも含めて荒れ気味に沸き立つ会場をよそに、いきなり変化球が来たこと、苦手な下ネタお題に当たったこと、なにより「これに言いたいのとを込めるのか……」と内心で頭を抱えていました。
 しかしそこはダラダラとはいえ八年やっているベテラン。こういう荒れた場で下らないことをいうと爆発的にウケる(ただ下らないことを言えばいいんってもんじゃないけれど)ことは知っているので、頭を抱えながら浮かんだ「ムフーン状態」と書く。早速挙手を……と思ったらプロジェクターがズレて上手く映らないハプニングがあって調整し直すのを待つことに。そのとき隣のジャージの顔さんが「むふふ状態」と書いているのか目に入り、これを先に出されたらかなりロスするなと考え直すことに。
 改めてお題に向き合って台風の目と男性器の接点を考えていたら(「台風の目と男性器の接点を考えていたら」?)「台風のメス」というフレーズを思い付いて、もうちょっといい語呂にできないかなと転がしていたらそのままでいけると気づいたので出す。

台風の女(め)を追いかける。

 書き直した分、時間こそかかったもののそれなりにウケたので出遅れた分は取り返せたかな。引き続き両者の接点からボケを考えてこの手の話には付き物の大きさの話題からなにか引っ張り出せないかと、巨だの粗だのを書いては消しているうちにひらめく。

上陸する前のニュースでは戦後最大とか言っていたんですけれど、来てみたら小雨しか降らなくて「見栄張ってたな」

 台詞を決めきらずに喋り出したこともあるけれど、フリの長さの割にイマイチな反応しか返ってこず。せめて「見栄張ってんじゃねえよ!」と強く言った方が勢いで持っていけたのかもしれないですが。
 気を取り直して考えはじめたものの、いくらお題とはいえまともに口に出すのが恥ずかしくなってきたので「なんとかごまかせないかな。ティンポムとか」と考えたらその日本語から離れた語感が台風の名前っぽく思えて、台風の名前といえば、ただの印象だけれどニュースで耳にするときは東南アジアの言葉が元になっていると解説されることが多い気がしたのでこの二つをそれらしくなるように整える。

この台風の名前なんですけれど、フィリピン語で野ウサギを意味する「ティンティム」

 「タガログ語では?」と引っかからないか心配したけれどそこはニュアンスでごまかせるかな(そもそも「ティンティムが野ウサギ」なんて大嘘ついているんだし気にしてもって話だけれど)。台風にまつわる情報だからお題から外れているけれどそこもニュアンスでごまかせるかな。と、ゆっくり咀嚼する時間がないことに頼った勢い任せの回答でしたが上手いことバカさが勝ってくれたおかげでここまでで一番大きくウケてくれました。
 これを答えた時点で時間ギリギリだったけれど、最後に一答出したかったので手当たり次第に探ったフレーズからなんとかダジャレを作って間に合わせる。

肉体に暴風雨当たることを略して「肉暴」と呼ばれている。

 ゼロでは無いけれど、完全に足を引っ張る程度のウケしか取れずに終了。こういう貧乏性があるからダメなんだよ。
 こんな感じでかなり波はあったものの野ウサギがウケたおかげでどうにか勝ち残り。ここで負けたら数時間大喜利出来なかったのでかなり胸をなでおろしました。
 続いてのお題は「万引きGメン達が口を揃えて『あいつは凄かった』と言う伝説の万引き主婦のエピソード」
 一転してシンプルなお題に「こっちが一問目だろ!」と会場中から総ツッコミが入る中、二問目がスタート。
 お題を見てすぐに「捕まえたくても捕まらない」って発想から「目立つのに捕まらない」、万引きから泥棒・盗賊へと連想させて「義賊のように盗んだものをあげる」って二つのアイディアが浮かんで組み合わせようと思ったものの上手く組み合わせられず、どちからだけ使って考えようにも発想が転がらずで時間だけが過ぎてしまう。そのうちなかなか出さないことをいじられ始めたので、このまま無駄にハードルが上がるぐらいならなんでもいいから出してこの空気を終わらせようと、形になっていないまま答えることに。

「盗んだあと店にいるホームレスに渡したものをあげはじめて施しをはじめた」

 アイディアが混ざり合っていないってのもそうだけれど、後半も「なんで店のなかにそういう人がいるんだよ」ってツッコミどころを入れたかったのに直接的なフレーズを使っちゃったし、言い回しに工夫しようと温めていた「施し」を使ったのが浮いているしで「なんでもいいから」とはいえ、なんでもからも零れ落ちるような反応しか返ってこなくてなかなかの窮地に陥ってしまう。
 これは急いで挽回しなければと、猛スピードで考えているうちに浮かんだ雑すぎるボケを「ウケるタイプの雑さ」だと判断して勢いそのままに出す。

私のようなGメンだけでなく、万引きQメンにも勝つ

 読み通りに失態を取り返すには十分の大ウケ。補足しておきますが、「ウケるタイプの雑さ」と書きましたが、いつ出してもいいわけじゃなく正確に言えば「スベった直後、矢継ぎ早で出せばウケるタイプ」ってことです。荒れた場でくだらないことを言えばウケるってのを一人でやる感じというか。この自作自演を狙ってできればいいんですけれど、大概が最初のスベりだけで終わるか粗製乱造で観客が離れる悪循環に陥るかの二択で今回みたいに上手くいくのはかなりレアケースなんですよね。
 閑話休題。余裕のできた状態で最初のもう一度「目立つことをしているのに捕まえられない」で漠然と考えていると「盗んでみせます女道」というフレーズが浮かんできた。なんとなく「少女☆歌劇レヴュースタァライト」の星見純那の口上にある「掴んでみせます自分星」っぽくなったので、純那の口上をヒントに全文考えてみる。そのうち時間は切れたけれど最後の一答を待ってくれていたので最低限形になるまで粘ってから答える。

「食品、雑貨に日用品。 私にかかれば全部ロハ 教えてあげよう女のイロハ 盗んでみせます女道」口上をしてから盗んでいく

 ウケはあったものの結果はおせわがかりさんに完封負け。本当に最低限形にしただけで終わったけれど読み方含めてもっと遊べた題材だけにちゃんと時間かけて考えられなかったのが心残り。ロハとイロハの語呂合わせに走っちゃったせいで台詞量含めて元ネタから外れてしまったのも心残り。



 歴ごとのチーム戦のあとはタイプ別でのチーム戦が行われました。
 申し込みの際にお題に沿って回答を考えるロジック、身振りや演技など回答の見せ方に重点を置いているフィジカル、感性で答えるクレイジーの三種から自分のタイプを選んでそれぞれチームに分かれて同様勝ち残りを決めるはずだったものの、人数に差が出たためロジックが二チームに分かれ、フィジカルとクレイジーが合同、さらに選ばなかった人が集まった不明の四チームで競うことに。
 自分ではロジックだと思うのだけれど、ロジックを選んだらみんなから「フィジカルでしょ」って見られるんだろうな……と、幻視した視線に恐れをなしてわだかまりを残したままフィジカルを選び合同チームの一員に。フィジカルを背負ってトップバッターになる勇気はなかったのでしばらく様子見をして三人目に出ました。
 出されたお題は「こんなフランス人は嫌だ」。
 シンプルな嫌だお題でいつもなら「なに出したらいいんだよ」と苦悩するところですが、見ながら「フィジカルだし最初はとりあえず叫ぶか」と決めていたので即座に答える。

ボンジュー! ボンジュー! ボンジュー!

 ウケた・ウケないとかではなく強い戸惑いを残しましたが、ここで戸惑わせることで「変なことをする」って印象を付けられて卑怯な手ではありますが空気をこっちに引っ張れたかなと。これで吹っ切れたのかチーム戦の間はフィジカルの仮面を被ってフィジカルに徹しようと決められました。
 フランス語でなにかできないか考え、フランス語の引き出しの手前に「レヴュースタァライト」の名シーンがあるので使うことに。

あなたに愛の言葉を贈ります。「マ・エスカルゴ」私のかたつむりという意味です。

 ボードには「マ・エスカルゴ(私のかたつむり)」と書いて出しました。回答単体の面白さというより、ただ叫んだあとにしっとりとボケたこと落差が効いたおかげか有効打になりました。それにしても、アニメから入って一年と四ヶ月。これまで一切なかったのに急に「レヴュースタァライト」に影響された答を二つも出すとはね。
 早くもフランスの引き出しが尽きそうだったので趣向を変えてトリコロールでなにかできないかと考えているうちに三層を別のものに見立てることを思いついたので、もうひとつフランスの要素としてフランス料理を組み合わせて「フランスっぽい料理を食べさせると言われて、期待したら三層になっているフランス(国旗)っぽい料理だった」と大枠は作ったので、三層になっている料理を考えたら真っ先にカツ丼が浮かんだのでこれで行くことに。カツってフランス料理が元になっていたからノイズになるんじゃないか迷ったけれど、誰も誰も気にしないだろうと判断しました。

フランスっぽい料理食べさせてくれるっていうから期待したらカツ丼が出てきた。 

 ボードには雑なイラストで卵・カツ・ごはんと説明文つき。ここまで読んで「どういうこと?」と思われたとおもいます。僕も振り返りながらよくわからないぐらいですから。
 結果、無でこそなかったもののかけた時間の割にさっぱりな反応しか返らなくて思わず天を仰ぐ。「八年やってるんだから一回死なないでくださいよ」とガヤで入るぐらい完全に終わったと諦めましたが、「マ・エスカルゴ」の貯金で辛くも生き延びる。
 命拾いして迎えた次のお題は「キモすぎる名探偵の推理するときの癖」。人生の半分以上を推理小説、それも名探偵が活躍するような本格ミステリ好きとして過ごしてきたのでお題を見た瞬間に腕が鳴るというか、ミステリ好きとして負けられないと昂ったものの真っ先に浮かんだのはキモからの発想でして……。

助手にチュッチュする

 ウケた。それも爆発的にウケた。変なツボに入って肝心のチュッチュを笑いながら出したにもかかわらず爆発的にウケた。
 ウケるに越したことはないんですが、先述の通り痩せても枯れても……というか痩せて枯れた時期しかないとはいえ本格ミステリ好きを自認しているのでミステリじゃなくキモでウケたのはなかなかに複雑な心境でした。
 さて、一答目で爆発的にウケたとはいえ、開始早々に大きな一発出せてもあとが続かずジリ貧になることが多いのでこの段階では貯金が作れた安心よりも焦りが大きかったです。
 キモい言動のあるあるやディティールの細かさといった正攻法での勝負もできないので、単体ではキモにならないけれど行動と組み合わせたらキモくなるものを考えたら「妊婦」が浮かんだので、「『何ヶ月ですか?』と質問してあらぬことを考える」と答えようとしたけれど、我が身に置き換えてやましいことを考えたい相手にコミュニケーションできるか? と思い直して直接関わらない方法に書き直す。

妊婦をチラ見する

 「キモくて(キモすぎて)面白い」と大きくウケたんですが、全員にそこまで至らずガヤとも思わず漏れた心の声ともつかないぐらいの声量での「キモ……!」という反応もあり、チュッチュと違って実感から出たことだけに複雑というか、人間として軽く心を折りました。
 出す前に「クセってことは毎回推理する場に妊婦がいるのか?」って引っかかられないかちょっと不安だったけれど、まあ気にしないわな。「毎度毎度妊婦がいるってってバルーンタウンか」って話ですよね(ちゃんと推理小説読んでますよアピール)。
 こんな風に考えているうちに、世代杯の数日前に米澤さんの新刊*1とEOTの動画の紹介とで二日続けて目にしていて頭に残っていた「円空」が顔を出して、円空から「推理のたびに仏像を作る」と思いついて、太い木からいちいち削っていくのは絵としても面白いかもしれないけれど、この前に田んぼさんが「推理用のやぐらを建てる」って答えて爆笑とったあとだったので、方向性が被る上にサイズが小さくて弱くなるからと発想を逆にすることに。

仏像を壊す

 結果、あんまりウケず。組み合わせとして上手くハマらなかったというか、今振り返ると「なんで?」を捻じふせるほどのパワーに欠けているもんな。言い回しも素っ気なさすぎるからせめて「近場の仏像を壊して回る」程度でも付け加えればよかったな。
 キモの周辺から考えた「妊婦」とは逆に、直接的に推理や探偵っぽくなくても連想させるアイテムを考えたら「リンゴ」が出てきた。リンゴでなにするかっていたらかじる。かじってどうなるかっていたらむせる。と浮かんだ連想をそのままボードに書く。さすがにこれだと一直線すぎて弱いからもうちょっと足そうと思い、「かじって」で改行していて空いているスペースを埋めるような文章を付け足すことに。

リンゴをかじってひとしきりむせる

 ひとしきりのおかげで絵のバカさ増えたおかげで仏像で沈んだ分を取り返せました。
 そろそろ時間切れ間際で深く考えている余裕がなくなったので、「推理」になにか付け足せないかと考えていたら「推理音頭」と思いつく。これを単に「推理音頭を踊る」と出してもウケないので、歌詞を考えて「まず『推理』から始めて、それに繋げるなら『できたぞ』かな。『すーいりできたぞ』」まで出来たところで、「これ『クックロビン音頭』のメロディに乗るな」と気づいて元ネタがあった方が作りやすいので替え歌にして答えました。

♪すーいりできたぞ キャホッキャホ! ♪犯人わかった ヤッピッピー! 「推理音頭を踊る」

 無理矢理くっつけたキャホッキャホとヤッピッピーもキモのアクセントになったのか。一番大きかったのはチュッチュの力ですが、さっきと違って一答の貯金だけに頼らず連勝できました。次のお題は今日初めて当たる台詞お題。
「裏のある博士「今日は石器時代に行くぞい」勘の鋭い少年「〇〇」」
 博士と子供両方に設定が乗っていることに戸惑いつつも、「勘が鋭いってことは裏を見抜くってことだよな……」と考えて、「本物の博士はどこだ!」と書く。これだけ出しても急かつそのまますぎるから子供見抜く理由もあった方がいいだろうと思い、お題から唯一手がかりに使える要素を持ってくることに。

……ぞい? 本物の博士ならほいって言うはずだ。「本物の博士はどこだ!」

 正直、勢いで強引に持って行ったんですが、脱力感もあっていい感触。
 このまま調子よく行けたらよかったんですが、ここから「裏がある」がすっかり抜け落ちてしまう。勘の鋭い子供ってだけしか考えなくて

博士がこう言うってことは なにか辛いことがあったんだな。察するなあ。

 続けて

さあて、博士を喜ばすために子供らしさ全開にしますか!

 と出してどちらも今一つ。お題とズレているというのもあるけれど、仮にお題に「裏のある」がなかったとしても、勘の鋭さというか、「気づくこと」と「気づいたあとでの言動」の掘り下げが両方とも浅いからウケとしては大差なかっただろうな。
 ウケなくて焦って思いつかなくなる悪循環に陥っているうちに気づけば終了間際。まだタイムトラベルによる過去改変を使った回答がなかったので一発逆転を狙って考え始めるものの、過去に行った影響を読むから長尺が必要なのに残された時間では到底時練り込み切れず、しょうがなく作りかけて形になっているところだけを出すことに。

過去に行くってことはこうなってこうなって、こうなってこうなって……。よし! 任天堂の株を買い漁れ!

 苦し紛れで出した任天堂が最適解では無いのは当然自覚していたけれど、着地だけじゃなく「こうなって」で終わらせていて具体的にどんなことが起こるかでボケられていないし、自信がないから計算しているときのマイムも小さくて演技なのか無意識に手を動かしちゃっているだけなのか分からなくて気を散らせてしまったとか、振り返れば振り返るほど反省材料が出てくる回答でタイプ別のチーム戦は終わりました。


 最後はもう一度歴に分かれてのチーム戦。
 今回もトップバッターで出る気満々だったんですが、「さっきと逆の順番でやりましょう」と声が上がり他の賛同が相次ぎ、ベテランチーム最後の砦という分不相応にもほどがある役目を任されることに。「頼む! 僕が出る間もなく勝ち切ってくれ!」と祈りながら見ていたけれど、そう簡単には行かず、試合はルーキーチームのゆうやさんが三連勝し、中堅チームを全滅させてベテランチームもあと二人まで追い詰めれれてしまう。
 チームの中から誰かが出ていくルールのため、毎回「次のお題はこんな感じです」と発表されていたんですが、この次のお題が「IKKOお題」だったときに何人かから「椙田さん行ったらいいんじゃないですか?」と声を掛けてもらう。「テンション高く叫ぶのが合いそうだからと推してくれたのだろうけれど、あんまりそうでもないんだけどな」と思ったものの、最後にやりたくなかったので飛びつくように出ていった。そのIKKOお題がこちら。
 「目の前で親友を惨殺されたIKKO『〇〇〇』」
 めちゃくちゃなお題も多かったからお題だけでウケることは多かった中でも一番の爆笑お題。
 瞬間の湧き起こる爆笑と感じる期待に反比例して参ったなと萎縮したまま考えていくことに。何度か言っていることですが、この手の要素で一番手前にあるのがイカルス(イカルス星人)の名曲「Betty Blue」なので(だから明るさよりも哀愁で考えることが多いのが「そうでもないんだけどな」と思った理由です)、回答のリズムを作る意味でも「Betty Blue」から引用して答える。

もうしないと思ったのに、男泣きするとはね。

 さっぱりウケず。そりゃそうだわな。叫ぶの期待されているところにシリアスで来られてもって話だし。 
 好きな曲の中でも特に好きな歌詞を引用したのにこんなザマで申し訳ないやら落ち込むやらこれは期待されている土俵に乗らないといけないのかなと諦めるやらで後ろ向きになっていましたが、直後にゆうやさんが爆笑を取ったところで「乗るしかないか」と腹を括る。
 「目の前で惨殺」から少年漫画で親友が敵にやられるシチュエーションが浮かんで、「漫画なら復讐を誓うよな」と思ったので敵への憎悪や決意をIKKOの定番フレーズと掛け合わせることに。

ぶっ殺けっちー

 最初は「ぶっ殺すっしー」みたいに台詞として成立させようとしたけれど中途半端に残っている方が絶対面白いと判断して「ぶっ殺けっちー」に。
 結果、会場が揺れるほどの大ウケ。お題とゆうやさんが作った流れと会自体も終盤で盛り上がってきたグルーブがに上手く乗っかった感が強いですが、とにかくウケたのでこれは行けるぞと思い少年漫画路線で考え続けることに。「バトル漫画だったら攻撃だよな」と今度はIKKOの定番フレーズで攻撃できないか考え、正拳突きを繰り出して浮かんだ答えを叩きつける

はー!!! 「どんだ拳」!

 文字で読んでもなんで? と思われるでしょうがさっきに輪をかけた爆笑。なんだったら八年やってきた中でも上位に入るぐらいの大爆笑。
 同じ日に同じメンバーで集まっていたとしても、このタイミング以外なら絶対こんなウケにはならなかった、というか会の前半にこのお題が来ていたらそもそも出してすらいない回答ですが、この瞬間だけは絶対にウケると確信して出せた。最初にも書きましたが荒れた場で下らないことを言うと爆発的にウケると知っているから。チーム戦にもフィジカルで出ていたから、動くことへの開き直り(だってフィジカルだから)もあって思いっきりやれたのも功を奏しました。
 とはいえゆうやさんもウケているし、連続してフレーズをもじっているので方向を変えて自身の力や意思の強さを示すボケを出すことに。続けてどんだけを使うのが気になったけれど、ウケさえすれば問題ないと変に強気になっていました。

どんだけー! この指を一振りする間に貴様の首は落ちる

 漫画とかで達人がなにかを投げたあと「これが地面に落ちる前にお前は死んでいる」と宣言するイメージで答えました。先二つに比べるとトーンダウンはしたものの、ここまでの勢いがあったおかげてウケたといっていい量の笑いはあったので、あとはこの変化が印象に残ってくれればと祈る。
 そんなこんなで時間が来たところでまだ使っていないIKKOの定番フレーズを思い出したので最後に使いました。

目の前で親友が惨殺されたこの宿命 背負うだけー!

 爆発二つと比べたら落ちるものの十分なウケ。貴様の首で終わるよりはよりは印象は上げられたはず。
 投票を待つ間、ウケてはいたけれどそれはお互いそうだし、僕はIKKOの浅い要素とダジャレばかり(「どんだ拳」はダジャレとして成立しているかも怪しいですが)だったのでものすごく不安でしたが接戦の末なんとか勝利。
 息つく暇も無くルーキーチーム最後の一人であるおせわがかりさんと連戦。チームの勝ちもあるけれど、一周目で完封されているのでリベンジをしたいところ。お題は「怪盗アホ山から届いた予告状」。激戦の勢いを落としたくないからと最初に浮かんだボケを。

怪盗アホ山、斉藤真則です。って本名名乗っている。

 まあ、ベタだわな。最初は斉藤真二と書いたのですがジャンポケの斉藤さんと読みが一緒だからノイズになるかもと、真樹(まさき)と書き直したらこれはこれで巨人の斎藤じゃん! となって、絶対いるけれどパッと思いつかないから真則でいいや! と答えたんですが、この迷っていた時間もうちょっと有効に使うべきだった。
 次に「自分が盗むのにどの立場で言ってるんだよ」と「言われなくても分かってるよ」とツッコませたくて。

ゴッホの「ひまわり」を盗みます。損害がすごいから保険に入った方がいいよ。保険おすすめだよ。

 記憶をもとに書いているけれど、実際は大して決めずに喋ったんでもうちょっとグダグダでした。どれだけ決めてないかというと「ゴッホの『ひまわり』」と言った瞬間、不用意に固有名詞出しちゃったって焦ったぐらい。
 お分かりだと思いますが、完全に前のお題でスタミナを使い切っていました。この次になんの策もなくボードにジャムと書いたことがそのことをよく現していて、自分でも書いた瞬間にまずいなとは思いましたよ。なにも思いつかないときに頼りがちなフレーズの一番手がジャム(ちょっと前の面白ワードはパジャマだったので「jam」の響きに弱いんでしょう)なんで。
 でも、手癖の安直さを切り捨てる冷静さは持てず、ジャムありきでジャムを盗むシチュエーションを考えることに。

こっちのテーブルのジャムなくなったから、そっちのジャム取るね。

 どっちにしろ差はなかったと思いますが、このボケに決まった時点で醤油とか無くなったから借りるってイメージが湧きやすいものに変えた方がまだマシだったのでは?
 そんなこんなで手応えがないまま時間切れが近づいたところで、なんでなのかわからないけれど松屋が浮かんだので松屋と書く。次に、前の日に行って頭に残っていたので隣にすき家と書く。松屋すき家を並べたら「この二店で比較させようかな。値段と味……あとはメニューの種類か?」と、それぞれの項目を星三つで比較した表を書いたものの、「松屋すき家の比較表が書いてある」だけだと弱いからなにか足せないか考えたら、「ここまで書いたのに無視してなか卯に行く」ってオチが思いついたので一番下の空いていたスペースに強引にねじ込む。

予告状は普通に宝石を盗みますって書いてあるんですけれど、空いたところに松屋すき家を比較した上で、なか卯に行きますってメモしている

 出がらしにしてはちゃんと考えた方ではあるし最後の最後にようやくちゃんとウケたけれど、メモだったら報告調にはしないだろうと「なか卯に行こう」と書き直したのに、もともと書いていた「なか卯に行きます」で答えていて集中力が持たなかった。
 どれくらい差がついたかは覚えていないものの完敗。このあと蛇口さんがタイマンを制してベテランチームの勝利で終わりましたが最後が情けなかったので完全には喜びきれず。波が激しいし課題も多いですがいいところもあったので、そこがもっと出るようになれば。

*1:2019年11月時点での話だったですが、つい最近、文庫版が刊行されたことで一周回って正しい情報になってしまい書きながら苦笑しています。