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七河迦南「わたしの隣の王国」

読書

わたしの隣の王国

わたしの隣の王国

 高校を卒業し短い休みを迎えた杏那は恋人で研修医の優と国内最大級のテーマパークハッピーファンタジアを訪れていた。夢のような一日を過ごすはずが、些細なことがきっかで二人は離れ離れになってしまう。杏那はパークのマスコットハッピー・パピーたちが本当に存在するファンタジー世界に迷い込み、一方で優は密室殺人事件に遭遇していた……。
 夢と魔法にあふれるファンタジー世界の冒険と事件と現実の密室殺人が交互に語られていくわけで、どう決着がつくのか興味はあるし杏那の冒険は楽しく読みつつも、謎そのものにはそこまで惹かれなかったり細かく引っかかるところがあったりでテンションが上がりきらないまま読み進めていましたが解決編で大喜び。
 相当な無理筋があるし部分的に見れば納得できないところも多々あるのはマイナスなんですけれど、その無理筋を押し通して成立させた凝りに凝った仕掛けと稚気溢れる細かいネタの数々に惚れ惚れして最終的にはぐうの音も出なくなっている。
 作中で世界観やアトラクションなどテーマパークを作ることの大変さが語られますが、この一作に相当な労力を使ったのは容易に想像できるわけで、なんといういか、ひれ伏しますね。
 冒頭からあからさまに先行作品を連想させたり杏那にアンフェアが嫌いだと宣言させたりといった挑発的なまでのネタには期待半分眉唾半分だったんですが、さすが挑発するだけのことはあるなあ……と呆けたように読み終わりましたよ。