文学フリマのお知らせ
情勢が情勢ですのでキャンセルする可能性もありますが。
22日に東京流通センターで行われる文学フリマでケー29ブースでテキストコント集「机上のエブリデイ・マジック」を500円で頒布します。便宜上、「戯曲・シナリオ」のカテゴリで申し込んでいますが、演じるためではなく文字で読んで楽しむ漫才やコントが六作入っています。
最初に謝罪をしなければいけないのですが、ミスが大量にあります。タイプミスや改行のし忘れに始まり、表記の不統一、目次と実際の収録順が違う、余白の設定に慎重になりすぎたせいで無駄な空白がある、挙句の果てに削ったくだりの最初の台詞を消し忘れてセリフがつながらなくなっている始末で、いつまでもこんな体たらくでいることも含めて申し訳ない忸怩たる思いです。
ですが、ミスの多さを差し引いても読んでいただくに足りるという自負は、自惚れかもしれませんがあります。目に余る点も含めて僕らしさだけで構成された「2020年のわたし」の報告です。よかったらお読みください。
- 漫才/服屋の店員
- 2015年に「script.」さんから手書き作品のアンソロジーにお誘いいただいたときに書いたネタの加筆。
- せっかくのお誘いなのに締め切り直前までなにも浮かばず、いくつかのめちゃくちゃ面白いテキスト漫才をもとに自分だったら同じ題材でどう書くか考えて、閃いたのが冒頭のやりとりで、そこからは怒涛のごとくアイディアが浮かんできたものの、他人様のアンソロジーに乗せるにはあまりに弱すぎるので「どうにかして繋げないと」、「どうにかして繋げないと」と必死になって考えました。
- 結果、妙手が浮かんで――それまで読んできたミステリの上っ面をかっさらっただけじゃねえかよとも思っていますが――土壇場で繋がった高揚感も手伝いずっと「今まで書いたテキストネタの最高傑作」と思っていたのですが、改めて読み返すと仕掛けが薄くてビックリしたのでいくつか加えるなど手直ししました。
- 六作のうちで一番自信のあるネタですが、上記の消そうとしたくだりの一行目を消し忘れる凡ミスをしたのがこのネタなので口が裂けても言えなくなりましたが。
- お手数ですが、お読みいただく際は「栃城:別に田原総一朗は来店しないよ」のあとに次の台詞を入れて補完していただけるとありがたいです。
- 槍沢:田原総一朗がいるからって朝生みたいだとは思わないよ。うわ、プライベートの田原総一朗だと思うだけだよ。とにかくこんな接客じゃダメですよ。
- コント/本屋
- 最初にパズルの件が浮かんで、そこをやりたいがために書きました。
- というのも、その件のボケとツッコミの声が実在するあるコンビで浮かんだからでして。書いてみたらパズルの件も含めてそのコンビとは似ても似つかないものになりましたが。
- 実のところ、この状況でもまだ文フリに参加するつもりでいるのはどうしてもこのコントを人に見せたいがためです。それが自己満足でしかないってことは分かっているので本当にダメそうだったら素直に諦めますが。
- そこに限らず思いつく限りのアイディアを入れると決め、実際入れるだけ入れたので、一番思い入れのあるネタです。
- コント/夢診断
- 読んでもらいたい順に並べたら長いネタが続いたので短いものを入れようかと。
- 既存のコントで悪くない評価もしていただいているので、一番信頼しているネタです。
- コント/師匠越え
- 目次ではこれと次のコントの順番が逆になっていますが、紹介するのが正しい順番です。
- 完成手前まで行って「知らないだけで似たような設定たくさんやられているんだろうな」と何年もほったらかしにしていたのですが、この機会に完成させようかなと。
- 一番ストレートにコントらしいコントだと思っています。
- コント/作家と編集
- 前半にああいう本屋のネタがあって後半にこのネタを入れて、これの前後がどっちも師弟関係のコントで……と、全体通してネタの要素が微妙に重なり合ってグラデーションになればと思ったのですが、効果はあったのかどうか……。
- 題材といい転がし方といい一番趣味が出たネタです。
- コント/破門
- これも「知らないだけで似たような設定誰かがやっているんだろうな」と放置していましたが、設定が好きすぎたので完成させました。
- 「コントとしても全体としてもオチがこれかよ!」とも思いますが、これしかないなとも思っています。
- 書きながら「どうしよう! 面白すぎる!」と口走るぐらい書いていて一番楽しかった(同時にある個所では苦しくもあった)のでただの自惚れに終わっていないことを祈っています。
「エブリデイ・マジック」という言葉を捻って「僕の目指す笑いはエブリデイ・ロジック」だと思いつき、エブリデイ・ロジックを「エブリデイ・マジックのマジックの部分がおかしな理詰めになっている」ぐらいのゆるい定義をしてから十数年。特に掘り下げるでもなく言葉の響きだけを気に入っていましたが、ようやく向き合ってコントを作りました。僕の目指すものかどうかはともかく、目指したものかはわかりませんが、こういうコントが好きです。